構図とポーズとクリスマス
はじめに
本記事は、 デジクリ Advent Calendar 2022 25日目の記事となります。デジクリとはなんぞや?という方はこちらのページをご覧ください。
メリークリスマス!今年のデジクリ Advent Calendar の締めを務めさせていただきます、17th 3DCG班 の Shimiiy(シミー)です。
本日は、私が中学から趣味で続けている3DCG作品制作に活かしてきた「構図」と「ポージング(ポーズの取り方)」のちょっとした話を、クリスマスの話題を少し交えながら話していこうと思います。
なぜ構図を学ぶか(本記事の目的)
さて、イラストや動画制作、あるいは写真撮影の時に、皆さんは構図を意識していますでしょうか?周りからよく「構図は大事」「ポージングは大事」と聞くけど、良い構図って何だよ??と悩む方も多いのではないでしょうか。
ここで一度「構図」の定義を調べてみると、デジタル大辞泉では、
こう‐ず〔‐ヅ〕【構図】
1 絵画・写真などで仕上がりの効果を配慮した画面の構成。コンポジション。「 構図 がいい写真」「斬新な構図 」
構図は、注目してほしいものに鑑賞者の視線を誘導する、いわば作品の良さの引き立て役です。鑑賞者が迷わないよう誘導するという意味では、文章でいう「接続詞」と似ていますね。
そこの説明は私のような芸術を遊びでやってきた素人の学生ではなくプロの講師にお任せします。
いつ構図やポージングを学ぶべきか(誰へ向けての記事か)
ただ、
- 思うままに描いてきた結果、自信作は何度か出せたが、
その分失敗作も多い - 「満足のいく作品」を出す効率を高めたい
- 自分の作品をもう一歩先の段階にまで上げたい
と、初心者 ⇒ 中級者を目指す人にとっては、
「構図」や「ポーズの取り方」などの理論が身についているか否かで作業スピードに雲泥の差が生まれます。
作業スピードが上がれば、短時間でより多くの作品を作れるようになります。
創作者たるもの、省エネ思考は大事です。特に大学生・社会人なら、普段の学業(仕事)の上にバイトや人付き合いがあり、体力がなくなりがちですよね。少ない体力でも、なるべく作品を作れるようにしたいものです。
そういった意味でも、結局こういった理論を学ぶことが大事になってきます。
…なんだか効率だとか理論だとか小難しい話をしてしまいましたね。
国語の教科書でレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の良さをひたすら布教する文章を読んだことがある方も多いと思います。あの文章を読んだ当時だと、「遠近法」や「消失点」なんて意味わかんねえよ!!と困惑しがちで、なんとなく構図を知ることに対して恐れを持つ人も多いのではないでしょうか?
ですが、構図は触れてみると意外とすぐに実践できるものだったりします。怖がる必要はありません。
少しずつ、一歩ずつでいいので、これから構図やポージングの理論に触れていきましょう。
**** 以下、メモ ****
中には「理論は特に勉強していないよ」と言いながら超絶上手い作品を作る神絵師・映像制作者もいるかもしれません。
ただ、この言葉を真に受けて勉強を怠るのは率直に言って姿勢が甘いです。実際、彼らの作品を見てみると本人の意識の有無はさておき綺麗な構図になっています。人よりも膨大な量の作品を観て、良い作品の特徴をインプットしているため、学問的に知識を学ぶ過程を吹っ飛ばして構図などの理論を肌感覚で理解しています。
このインプットの工程を計算機の力でゴリ押した結果が Stable Diffusion, Midjourney などの絵を描く人工知能だったりします(暴論)
結局、我々一般人は天才ではないため、良い作品の裏にある理論も知らずに作品を鑑賞するだけの勉強はとても非効率です。きちんと理論も勉強しましょう。
構図
先ほども述べたように、構図は自分の魅せたいものに鑑賞者を誘導する技術です。
無論、人によって構図は千差万別なので、一概に「構図のルールは全部で○○個ある!」とは言えませんが、
これは色んな人が使っているから覚えておくといいよ!みたいな構図は、大体固まっていたりします。
今回は、私がかつてインターネットにいる3DCGの先輩に教えてもらい、今でも参考にしている構図の早見表を持ってきました。
図のタイトルにもあるように、この早見表は「写真術における構図の法則」について書いていますが、もちろんイラストや動画にもこの法則は転用できます。
この早見表では19個の法則を提示していますが、いきなり19個全部を使いこなせるようにインプットだけを頑張るのは無茶な話です。
一つ、構図の法則に触れたら、すぐに筆を動かし(もしくはBlender・Mayaを開き)、作品制作に転用してみて、なんとなく感覚を掴んでみてください。
インプット→アウトプットを繰り返し、理論を筋肉で覚えましょう。
19個ある構図の法則のうち、どこの本・サイト・動画でも重要だと言われる法則をピックアップしてみました。本日は Rule of Thirds、Framing、Leading Lines について触れていきます。
Rule of Thirds(三分割法)
Rule of Thirds(三分割法)はその名の通り、
写真の縦横を三分割して、その交点に被写体(例えば顔など)を置く構図のことです。
中央に被写体を置くよりもネガティブスペース(余白)を自然に作りやすく、写真に安定感をもたらしやすいので初心者には非常にオススメの構図です。私も愛用しています。
以下の通り、Rule of Thirds は縦画像にも適用できます。
ここで豆知識を一つ。
Rule of Thirds で使う補助線(グリッド)ですが、一般的なカメラにも標準機能として搭載されていることが多く、なんと iPhone でもグリッド表示が可能だったりします。特に第三者アプリを入れる必要はなく、ただiOSの設定を変えれば良いだけなので、非常に簡単に Rule of Thirds の練習ができたりします。
絵や動画に限らず、日常的に使うスマホでも、こういうグリッド表示を使って構図の練習をするといいかもしれませんね。
Rule of Thirds の壊し方
さて、この Rule of Thirds ですが、これはあくまでガイドラインのようなものであり、この構図の法則を破ったからといって構図が悪化するということはありません。特に日の丸構図なんかがいい例ですね。
法則の崩し方さえ知っていれば、Rule of Thirds を使わずとも良い構図は作れます。
Rule of Thirds を使い慣れてきたら、この法則を”正しく”崩して新たな構図を使うのも良いでしょう。
例えば、上の画像は私が当時安かった Quest 2(VR機器)を買った時の写真ですが、
別に Rule of Thirds は使っていません。
この画像は最初に中央のぬいぐるみに目が行くよう、後述する Leading Lines を意識して Quest 2 の箱の輪郭を設置しています。Quest 2のサイズ感を示すためにぬいぐるみを置いていたりもします。
こういった構図の工夫をすれば、Rule of Thirds に飽きたとしても良い構図を作れるようになりますので、是非。
(実は Rule of Thirds を崩した構図は私の手元にあまり良い例がなかったのでこれを引っ張り出しました。謎チョイスをどうか許してくれ……)
Framing
Framing(フレーム付け)は、画像内の被写体を "フレーム(額縁)" で囲み、鑑賞者の視線をフレーム内に誘導する構図の手法です。
ここでいう "フレーム(額縁)" は、写真展示に使う物理的な額縁を指しているわけではなく、木の枝や山脈、ビルや窓、あるいは布まで、何でも使えます。
視線誘導の他にも、Framing はフレーム(額縁)に何を使ったかで
- 時間
- 場所
- 雰囲気
など、ストーリーの表現にも使えるという副次的効果があります。
Framing を意識すると、絵により一層味が出せます。これもそのうち使いこなせるといいかもしれませんね。
Leading Lines
Leading Lines(リーディング・ライン)は、鑑賞者の視線を ”線” で被写体に誘導する構図の手法です。この”線”も Framing のフレームと同じく、いろんな物体を用いることが可能です。例えば道路、木々の並びや街灯まで、何でも使えます。
Leading Linesで使える線の種類にも横線や縦線、線の交点や曲線など、いろいろな種類が存在し、それぞれに演出の効果があります。使い分けると強力ですので、これも意識して創作していくと良いでしょう。
ポーズ
(12/25)男女のポージングの違いや、手指のポーズでも表情を伝えることは可能だということを詳しめに話したかったのですが、構図の説明の段階で力尽いて話せそうにないので断念します…詳しい話は気が向いたらまた別の記事で。
とはいえ、ポージングについて少し話すと宣言した以上、流石に何も書かないのはまずいので、私の代わりに良いポーズの秘訣を知っているプロの方を紹介します。
ポーズはわかすぎ先生をフォローしてくれ
ポーズに関してはわかすぎ先生というすごいアニメーター(私が3DCG映画の中で神作と讃えているスパイダーマン:スパイダーバースに関わっている人)がブログでコツをまとめています。
これだけでも見ておいてください。
ブログを読むの、めんどくさいよ~という方。
わかすぎ先生はTwitterでも活動しており、いろいろと初心者に向けての良いポーズのコツをツイートとして流しています。
わかすぎ先生は3DCGアニメーターなので、ポーズのコツで使っている画像例もCGでのポーズ表現が多いですが、無論この理論は絵や写真にも転用できますので、CGが専門外であってもTwitterはフォローしておきましょう。日ごろのTLで受動的に知識のインプットができます。
初心者向けシルエットに関して
— わかすぎ【走る海外CGアニメーター】🕸 (@Ryowaks) 2022年11月23日
ネガティブスペースって聞いたことありますか?ネガティブスペースを意識してポーズを作ると、きれいな分かりやすいシルエットのポーズが作りやすくなります🙉 pic.twitter.com/G9ebmDjw7K pic.twitter.com/3eLypMLi82
また、わかすぎ先生はCGWORLDでポーズ宿題というポーズのお題も出しています。
ポージング力を強くしたいという方は、この宿題に参加して自らの表現力をブラッシュアップしてみてください。
クリスマス(記事のまとめ)
さて、今まで述べた構図やポーズがどうクリスマスにつながるんだよ???と困惑している方もいるでしょう。
これからどうつながるのかを話していきます。屁理屈タイム!
現代日本の冬の一大行事となっているクリスマスですが、いつも以上に「写真を撮る」機会が多いと思います。
ここで、例えばポージングの知識があると、
イルミネーションを背景に恋人をより美しく写真に収めることができますし、
Rule of Thirds を知っていれば友達と過ごすクリスマスパーティの写真も上手く撮れるでしょう。
特に前者は、クリスマスツリーの輪郭を Leading Lines として使えるかもしれませんね。
…文章ばかりで実例となる写真がないじゃないか。とツッコむ方もいるかもしれませんね。
その通りです、このクリスマス、2日間とも私は一歩も外に出ていません!一緒に出掛ける相手も特にいないので家の中で過ごしておりました。
幸いなことに、私は実家暮らしなので家族と一緒にクリスマスを過ごしましたが、とはいえ去年みたいに男どもの集まりでスイパラに行き、 ♰デストロイ♰クリスマス会♰ でもすればよかったなあと少し後悔しております。まあ全部私が本記事の執筆を締め切りギリギリまですっぽ抜かしてアサクリを遊び、予定を入れる余裕を自分から消したのが悪いんですけどね。
こんな話をしてもどうでも良すぎるのでさっさとまとめに入ります。
本当の意味でのまとめ
結局のところ、構図やポーズが何の役に立つかというと、
注目してほしいものに鑑賞者の視線を誘導し、作品の良さを引き立てるのに役に立ちます。
作品を観る人を上手く誘導し、自分の魅せたいものを観てもらうためのツールとして、是非とも構図やポージングを活用してみてください。
謝辞
拙い仕上がりとなりましたが、本記事をここまで読んでいただきありがとうございました。
ここで伝えた知識が、どうか皆様の創作活動の足しになれば幸いです。
また、デジクリ Advent Calendar 2022 に最後までお付き合いいただいた読者の皆様、ありがとうございました。この Advent Calendar を通し、デジクリに興味を持っていただけたらこの上なく嬉しい限りです。
そして今年のデジクリ Advent Calendar に参加してくださった皆様に、企画者としてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
このアドカレ企画を引き継いだ時は、そもそも部員の皆が参加してくれるかどうか、
皆が期日までに記事を書き終われるのだろうかと少し心配しておりました。
ですが、いざやってみると、部内の様々な分野の人が期日前にしっかりとした記事を仕上げており、その事実に安堵したとともに私もしっかりとした記事を書かねばならないな…と、良いプレッシャーを感じました。
繰り返し言いますが、Advent Calendar 執筆者の皆様、ご参加ありがとうございました。願わくば、来年も Advent Calendar 企画にご参加いただけると幸いです。
それでは、また来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年を!
余談
はてなブログの仕様をよく理解していなかったせいで、冒頭の部分のフォントが変な感じになっているかと思います。
できれば公開前に修正したかったのですが、HTMLタグを見たところ「これ直すの辛いな」と感じたのでこのまま出します。
許してくれ。
はてなブログ始めました
大学のサークルでアドベントカレンダー企画を主催していたら、
企画に参加している数名の先輩・後輩から「はてなブログ使わないの?」と 圧をかけられた 布教されたので、とりあえずはてなブログを立てました。
せっかく個人サイトを立ち上げたので、そこでさらにブログ機能を実装してしまいたい気もしますが、如何せん技術と時間が足りないのでそれはまたの機会に…